こんにちは、今日は年金をいつから受給するのが良いのかについてお話しします。
年金の受給開始年齢を繰り下げることで、月々の受給額が増えることは広く知られています。しかし、繰り下げ受給が本当に自分にとって最適かどうかは、単純な受取総額や損益分岐点の話だけでは決まりません。ここでは、毎月の生活費や将来のインフレ率、他の収入源とのバランスを考慮した観点から、年金を繰り下げるかどうかについて考えてみます。
毎月の生活費
以下は一般的な生活費の例です
- 食費: 月3万円
- 光熱費: 月1.5万円
- 通信費: 月1万円
- 交通費: 月1万円
- 医療費: 月0.5万円
- 交際費・娯楽費: 月3万円
- 雑費: 月2万円
合計で月約12万円程度の支出が見込まれます。これに加減して実際の自分の生活費をしっかりと確認しましょう。家計簿をつけるか、銀行口座からの引き落とし額を確認するなどして、できるだけ正確に把握することが重要です。
収入源の確認
65歳からの年金額(年金定期便で確認できます)、企業年金、配当金、その他の定期収入などを合算します。
インフレ率の考慮
インフレ率を加味することで、今後の生活において必要な金額が決まります。一般にインフレ率は2%と言われています。
現在の支出が1ヶ月12万円とした場合
- 10年後:約14万5千円
- 20年後:約18万円
- 30年後:約22万円
繰り下げによる増加率(1年あたり8.4%)
繰り下げ受給によって年金額がどれだけ増加するかを見てみましょう。例えば、月18万円の年金受給額がある場合、繰り下げ受給によって次のように増えます:
- 66歳から:18万円 × 1.084 = 19.512万円
- 67歳から:18万円 × 1.168 = 21.024万円
- 68歳から:18万円 × 1.252 = 22.536万円
- 69歳から:18万円 × 1.336 = 24.048万円
- 70歳から:18万円 × 1.42 = 25.56万円
例えば現在65歳で、これから1ヶ月18万円を受け取る場合、支出にインフレ率2%を加味すると、20年後に支出と収入は±0になります(一時的な支出や税金などは加味していません)。つまり、それ以降は他の収入や蓄えがないとインフレのために生活が成り立たない可能性があります。
税金や社会保険料の影響
繰り下げによる増額分に対して税金や社会保険料も増えます。例えば、70歳まで繰り下げした場合、増額分約9万円に対しての税金や社会保険料の増額は毎月おおよそ3万円程度です。つまり、9万円増えても実質6万円しか増えないということです。
結論
人間はいつ死ぬかわからないため、受取総額や何歳以上になったら得するかを考えるよりも、以上の観点から、蓄えも考慮したうえで自分の生活にどれだけ余裕があるかを判断し、年金受給時期を決定するのが合理的です。
それではまた。
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